2018年8月17日2023年11月27日大学教授に学ぶ正しい化粧品の知識

美容&スキンケア情報「注目の美容成分 『若返りのビタミンE』」

今日は、注目の美容成分「若返りのビタミンE」について記載いたします。

 

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ビタミンEについて

1922年にH.M.EvansとK. S.Bishopが、ラットの妊娠に必要である食事因子‘Factor X’を報告し、これを2年後にB.SureがビタミンEと命名しました。

 

翌年Evansはトコフェロール(Tocopherol)と命名しました。

 

これは、ギリシャ語の子(τέκνο)を持ってくる(φέρνω)と化学用語のアルコール(ol)という意味からきているそうです。

 

 

当時はまだ化学構造はわかりませんでしたが、1938年にビタミンEの構造が決定されました。

1956年になると、ビタミンE には8つの同族体があることがわかりました。

抗不妊作用と抗酸化作用はα-トコフェノールが最も活性が高いですが、抗酸化機能の持続作用は、δがいちばん強く、δ> γ> β>αの順となっています。

 

 

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トコフェロールとトコトリエノールの違い

オリーブ油、サンフラワー油、サフラワー油は、主にα-トコフェノールを含み、ゴマ油は、主にγ-トコフェノールを含み、ダイズ油、トウモロコシ胚芽油は、主にγ-トコフェノールを含みますが、α-トコフェノールも多く含んでいます。

 

ビタミンEは脂質に溶けるので、細胞膜の脂質に取り込まれて酸化ストレスから細胞膜を守ると考えられています。

 

トコフェロールとトコトリエノールの違いは、炭素同士の結合が二重(不飽和)になっているかどうかです。

 

不飽和になっているトコトリエノールのほうが安定性が悪いといえます。

 

天然のビタミンEをd-α-トコフェロール、合成品のビタミンEをdl-α-トコフェロールと表示しています。

 

 

合成のビタミンEには、安定化をはかるため、抗酸化にはたらく位置(水酸基、活性部位)に安定させるための酢酸を付けた酢酸トコフェロール(dl-α-トコフェロール酢酸エステル)が化粧品に配合されています

 

このもの自身には抗酸化能力はありませんが、化粧品製剤中で徐々に酢酸が外れて、抗酸化効果をもつようになると考えられます。

 

 

また、皮膚に浸透してからも徐々に酢酸が外れて、抗酸化効果をもつようになると考えられます。

 

主に大豆、菜種から抽出した天然トコフェロール(γ、δートコフェロールが主)も化粧品に使用されています。

 

 

 

この記事を書いた人

前田 憲寿 先生

前田 憲寿 先生

*医学博士

*東京工科大学 応用生物学部 教授

*日本スキンケア協会 顧問

*特許庁 機能性皮膚化粧料調査委員会 委員長

九州大学大学院薬学研究科、東北大学大学院医学研究科を経て、資生堂ライフサイエンス研究センター皮膚科学研究所にて主任研究員を務める。2007年に東京工科大学バイオニクス学部教授、バイオ・情報メディア研究科教授に就任。2008年より、同大学応用生物学部、バイオ・情報メディア研究科教授に就任。専門分野は、香粧品科学、皮膚科学、分子細胞生物学、生化学、薬理学など。テレビなどのメディア出演も多数。

 

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