2018年8月25日2024年1月18日大学教授に学ぶ正しい化粧品の知識

美容&スキンケア情報「注目の美容成分 『安全性の高い油 ツバキ油』」

今日は、注目の美容成分「安全性の高い脂 ツバキ油」について記載いたします。

 

椿油は希少?

日本で椿といえば、

ヤブツバキ(藪椿、学名:Camellia japonica)、

ユキツバキ(雪椿、学名:Camellia rusticana)、

リンゴツバキ(林檎椿、学名:Camellia japonica var. macrocarpa)等の

野生種がこれに属し、それぞれ伊豆諸島(大島、利島)、日本海側、屋久島に分布しています。

 

それらの種子から得られる油(椿油)の流通量は年間約30t程度で、極めて少ないのが現状です。

 

椿油は力士の鬢付け油などの目的で日本において古くより生産されてきたものですが、現在においても種子の採取は手作業で行っています。

 

また、生産地は台風が通過する確率の高い地域にあり、台風により種子が落下することで生産量が低下するという問題があります。

これらのことから、椿油の供給は極めて不安定であるのが現状です。

 

供給量が少ないことから、日本産椿油を工業的に利用することが困難な状況となっています。

 

 

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安全性が高いヤマトウツバキとは?

そこで、椿(ジャポニカ種)の近縁種の中国産のヤマトウツバキ:山唐椿(Camellia reticulata)がツバキ油として用いられるようになりました。

 

ヤマトウツバキは延寶年間(1673年~1681年)に中国から日本に渡来したとされています。

 

花は桃紅色で、外観はジャポニカ種と類似していますが、ジャポニカ種と比較して大型であることと、雌しべの子房に毛があることが特徴です。

 

ヤマトウツバキ(山唐椿)あるいはトウツバキ(唐椿)は中国から渡来した椿の意味です。

 

中国では広く栽培され、多くの園芸品種があります。

 

ツバキ油のトリグリセリドの組成は、オリーブ油と似ており、その脂肪酸組成は70~85%がオレイン酸(C18:1、)であり、10~15%がパルミチン酸(C16:0)、4~10%がリノール酸(C18:2)です。

 

オリーブ油と同様に安全性が高く、原液を用いても問題ありません。

 

ただし、ツバキ油は不飽和脂肪酸 (オレイン酸とリノール酸)が含まれていますので、原料には抗酸化剤のδ-トコフェロールが含まれている場合が多いですが、製品は冷暗所に保管することをお薦めします。

 

一方、メドウフォーム(Limnanthes alba)の種子から得られるメドフォーム油は、そのトリグリセリドの組成がエイコセン酸(C20:1)を主成分とし、ドコセン酸(C22:1) 、ドコサジエン酸(C22:2)も含むため、安全性はツバキ油やオリーブ油ほど良くありません。

 

 

 

この記事を書いた人

前田 憲寿 先生

前田 憲寿 先生

*医学博士

*東京工科大学 応用生物学部 教授

*日本スキンケア協会 顧問

*特許庁 機能性皮膚化粧料調査委員会 委員長

九州大学大学院薬学研究科、東北大学大学院医学研究科を経て、資生堂ライフサイエンス研究センター皮膚科学研究所にて主任研究員を務める。2007年に東京工科大学バイオニクス学部教授、バイオ・情報メディア研究科教授に就任。2008年より、同大学応用生物学部、バイオ・情報メディア研究科教授に就任。専門分野は、香粧品科学、皮膚科学、分子細胞生物学、生化学、薬理学など。テレビなどのメディア出演も多数。

 

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