2019年10月28日2024年3月18日大学教授に学ぶ正しい化粧品の知識

みずみずしいうるおいのある素肌 表皮基底細胞と表皮基底膜との接着

表皮は、真皮側から基底層、有棘層、顆粒層、角層の4層構造からなり、その大部分は表皮角化細胞によって構成されています。

 

隣接した表皮角化細胞間にはデスモソーム(desmosome)や密着結合(tighe junction)など、複数の細胞間接着構造が存在し、これらの構造によって表皮角化細胞が互いに密着しています。

デスモソームは、デスモプラキン(desmoplakin)などの細胞膜内側の付着板と呼ばれる部位と、デスモグレイン(desmoglein)1, デスモグレイン3,デスモコリン(desmocolin)などの細胞膜貫通タンパク質で構成させれています。

 

デスモプラキンにはケラスチン線維が結合し細胞骨格を強固なものにしています、また、デスモグレインやデスモコリンなどの膜貫通タンパク質は、再妨害で同一分子同士がカルシウムイオンの存在下に接着しており、これによって細胞間の結合がなされています

 

 

 

基底層にある一層の表皮基底細胞は、表皮基底膜(epidermal basemant membrane)を介して真皮とも結合しています。

 

表皮基底膜はⅣ型コラーゲンからできています。

 

Ⅳ型コラーゲン分子はロープ状の分子で3本のα鎖が3重らせんを巻いています。

 

α鎖の種類は6種類あり、生体の基底膜を形成するⅣ型コラーゲン分子はα1-α1-α2分子、α3-α4-α5分子、α5-α5-α6分子の3種類のみです。

 

表皮基底膜を形成する形成するⅣ型コラーゲン分子はα5-α5-α6分子です。

 

一方、表皮基底細胞には、デスモソームを半分に切ったようなヘミデスモソーム構造が存在し、基底板(lamina densa)との接着に重要な役割を果たしています。

 

ヘミデスモソームは、デスモソームとは異なり、膜タンパクであるⅩⅦ型コラーゲンやインテグリンα6β4、細胞内たんぱく質であるBP230(BPAG1)やプレクチン(plectin)などで構成されています。

 

インテグリンは、フィブロネクチンへの細胞接着を媒介する受容体としてはじめに同定された接着受容体で、α鎖とβ鎖とよばれる2本のサブユニット鎖のヘテロ2量分子です。

 

 

 

 

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α鎖には19種類、β鎖には8種類の異なるタイプがあり、これらの組み合わせが異なる24種類のインテグリンが同定されます。

 

赤血球のような特殊な細胞を除くと、インテグリンはほぼすべての細胞に発現しています。

 

表皮基底膜は、基底板と透明帯(lamina lucida)に分けることが出来ますが、ヘミデスモソームは基底板と表皮基底細胞とを直接連結することで表皮と真皮との結合を維持しています。

 

透明帯にはラミニン5やヘパラン硫酸プロテオグリカン、フィブロネクチンなどが含まれています。

 

基底板の主な構成成分はIVコラーゲンで、ラミニン5は透明帯と基底板の間に位置し、また、インテグリンα6β4のリガンドとして表皮基底細胞との連結にも関わっています。

 

さらに、基底板の直下には、VIIコラーゲンで構成される係留線維(anchoringfibril)が半弧状にフックのように存在しており、真皮のI型/皿型コラーゲンと基底板とを強固に結合しています。

 

 

 

 

 

 

表皮基底膜は、表皮と真皮を強く繋ぎとめるだけでなく、表皮角化細胞の極性の維持や分化にも影響を与えています。

 

細胞の増殖・分化にはニッチェと呼ばれる個々の幹細胞に固有な細胞外環境が重要な役割を果たしています。

 

このニッチェの中核となるのも基底膜です。

 

紫外線を浴びすぎると基底膜が断裂し機能が低下して、表皮角化細胞の極性が異常になり、メラニンの排泄がうまくいかなくなるだけではなく、メラニンが真皮に滴落して、色素が沈着します。

 

真皮に滴落したメラニンはマクロファージに貪食されますが、真皮から排出されるには数年以上かかるといわれています。

 

このように基底膜が断裂したり、機能が低下しなければ、シミもできないでしょう

 

つまり、美しい素肌を保つためには、表皮と真皮を支える暑さ60-8 0µmの基底板をはじめとする基底膜の状態を良好に保つことも大切なのです。

 

 

 

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この記事を書いた人

前田 憲寿 先生

前田 憲寿 先生

*医学博士

*東京工科大学 応用生物学部 教授

*日本スキンケア協会 顧問

*特許庁 機能性皮膚化粧料調査委員会 委員長

九州大学大学院薬学研究科、東北大学大学院医学研究科を経て、資生堂ライフサイエンス研究センター皮膚科学研究所にて主任研究員を務める。2007年に東京工科大学バイオニクス学部教授、バイオ・情報メディア研究科教授に就任。2008年より、同大学応用生物学部、バイオ・情報メディア研究科教授に就任。専門分野は、香粧品科学、皮膚科学、分子細胞生物学、生化学、薬理学など。テレビなどのメディア出演も多数。

 

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