2022年12月13日2024年5月20日大学教授に学ぶ正しい化粧品の知識,美容コラム
みずみずしいうるおいのある素肌-4 モイスト&エモリエント バランス
健やかで美しい肌をつくり、保つためには「モイスト&エモリエント バランス」が重要です。
モイスト&エモリエント バランスとは、肌の不足した水分・油分を、スキンケア(化粧水・乳液)に含まれる水分・保湿剤・油分でバランス良く補うことで肌を整えることです。
化粧品に配合されているモイスト成分である水性保湿成分(グリセリン、BG、ソルビトールなどのポリオール)を皮膚表面だけではなく角層に浸透させて保湿し、エモリエント成分である油性成分によって皮膚からの水分蒸散を防ぎます。
モイスト成分とエモリエント成分をバランスよく補うことで、角層に柔軟性をもたせ、うるおいを持続させることができます。
このバランスや順番を間違えると、油性成分が邪魔をして水性成分が浸透できなくなってしまい、これらの効果を発揮できなくなります。
クリームをつける前には浸透力の優れたローションや美容液をたっぷり使い、水分や美容成分が逃げないように、その上に蓋をするようにクリームを薄くのばして使います。
皮膚にとって最も理想的なエモリエント成分は、皮膚表面で皮脂膜を構成してうるおいを守る皮脂そのものです。
すなわち角層からは絶えず水分の蒸散が起きており、角層細胞間脂質と皮脂膜の働きにより過度の水分の蒸散がおさえられています。
角層の機能が低下しすぎると、過度に水分の蒸散が起き、角層に亀裂が生じて肌荒れします。
このようにならないためにも、乾燥した冬や角層の機能が低下しはじめた場合には、外部から水性保湿成分や油分を補うことで角層に柔軟性をもたせ、うるおいを持続させることができます。
角層の水分が減少し不調状態が続くと、表皮基底細胞はダメージを受けた角層を修復しようとします。
そのためターンオーバーのスピードが速まり、多くの未熟で不完全な角層がつくり出されてしまいます。
正常な角層を形成するのに必要なCE(角質細胞を包む膜)、NMF、細胞間脂質がつくり出されるには準備が不十分になってしまい、バリア機能や保湿機能が低下するという悪循環となります。
エモリエント成分には、イソステアリン酸などの高級脂肪酸やイソステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどの高級アルコール、ホホバ油などのロウ、オリーブ油、ツバキ油、マカダミアナッツ油、メドウフォーム油などの不乾性油、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、テトラオクタン酸ペンタエリスリチルなどのエステル油、スクワランや流動パラフィンなどの炭化水素、ジメチコン、ジメチルポリシロキサンなどのシリコーン油などを配合した化粧品(乳液タイプのエモリエントローションやクリーム状のエモリエントクリーム)がつくられています。
使用する肌質や季節などに応じて種類や量を使い分けることで、角層に適切なエモリエント効果をもたせることができます。
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