2018年8月20日2023年11月16日大学教授に学ぶ正しい化粧品の知識

美容&スキンケア情報「注目の美容成分 『オスモライト「エクトイン」』」

オスモライトとは、生物において主に浸透圧を調節する化学物質のことです。

 

細胞外部の浸透圧ストレス(浸透圧勾配)による細胞内への水の流入あるいは細胞外への水の排出を調節して細胞容積を保持する機能があり、酵素などのタンパク質の構造や機能を安定化してタンパク質を変性から守る働きがあります

 

塩生植物では塩の浸透圧ストレスに対しては、プロリン、バリン、イソロイシン、エクトイン、アスパラギン酸、ベタイン、グルコース、フルクトース、スクロース、マンニトール、myo-イノシトールなどがオスモライトとして機能しています。

 

 

バクテリア類では高浸透ストレスに対しては、トレハロース、プロリン、グルタミン酸、エクトイン、ベタイン、カルニチンなどがオスモライトとして機能しています。

 

極限環境に置かれても、生命を復活するクマムシの耐乾燥性はトレハロースによるものと考えられています。

 

エクトイン((S)-2-methyl-1,4,5,6-tetrahydropyrimidine-4-carboxylic acid)は高塩、乾燥、高温の場所(塩湖、塩の砂漠、海水など)で見られる好塩性のバクテリア(例:Ectothiorhodospira halochloris, Halomonas elongata等)に含まれています。

 

これらの好塩性バクテリアは、紫外線、乾燥、高温、高塩にさらされてますが、エクトインを合成することにより細胞機能を保っていると考えられています。

 

エクトインは水と結合することによって、会合して大きな水の殻を作り強い水和構造となるため、タンパク質、核酸、膜などの生体高分子を熱、凍結、乾燥、浸透圧から保護します。

 

 

 

 

化粧品原料としての機能性としては、紫外線によるサンバーンセル形成に対する抑制作用、紫外線によるランゲルハンス細胞の減少に対する保護作用、紫外線によるDNA損傷に対する保護作用があり、紫外線による細胞ダメージを防御する効果があります。

 

また、角層コーニファイドエンベロープの成熟を促進する効果もあり、角層のバリア機能を向上させる作用もあるといわれています。

 

このようにエクトインにはタンパク質やその他の細胞構造を安定化させ、紫外線や乾燥のようなストレスから皮膚を守る働きがあることから、スキンケア製品や日焼止め製品等に0.1%程度配合される場合があります

 

 

 

この記事を書いた人

前田 憲寿 先生

前田 憲寿 先生

*医学博士

*東京工科大学 応用生物学部 教授

*日本スキンケア協会 顧問

*特許庁 機能性皮膚化粧料調査委員会 委員長

九州大学大学院薬学研究科、東北大学大学院医学研究科を経て、資生堂ライフサイエンス研究センター皮膚科学研究所にて主任研究員を務める。2007年に東京工科大学バイオニクス学部教授、バイオ・情報メディア研究科教授に就任。2008年より、同大学応用生物学部、バイオ・情報メディア研究科教授に就任。専門分野は、香粧品科学、皮膚科学、分子細胞生物学、生化学、薬理学など。テレビなどのメディア出演も多数。

 

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