2021年9月7日2024年6月25日美容コラム

運動後の焼肉は危険!?①

タイトルには「焼肉」と書きましたが、本当にお伝えしたいのは運動直後に摂取すべきなのは「肉(たんぱく質)」ではないということです。

 

「え、運動後にはすぐにたんぱく質を摂ったほうが良いんじゃないの?筋肉のためにもジャンジャンお肉を食べないと!」このようなお考えの方はたくさんいらっしゃると思います。

 

「運動後にはたんぱく質」はもはや世の中の当たり前。

 

常識化していることですよね。

でもそこが大きな落とし穴。

 

今回は「医療目線からみた適切な運動後の食事」についてお話ししたいと思います。

 

 

焼肉に含まれる「○○」がトレーニングを悪者にする(老いのメカニズム)

トレーニング後は「せっかく筋肉を使ったんだからたんぱく質を取ろう!ステーキ!焼肉!」と言っている人を多く見かけます。

 

(正直なところ私も焼き肉が大好きなので、運動した後食べたくなる気持ちがよくわかります。)

 

お肉の中には、筋肉のパンプアップや代謝アップ美肌の維持などに必要な「たんぱく質」が豊富に含まれていますが、問題はたんぱく質以外の含有成分も多いということです。

 

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例えば、牛肉の組成でいうと炭水化物・たんぱく質・脂質のうち一番多くの割合を占めているのは「脂質」です。

 

運動後に脂質をとったら太るからもったいないとか、そんな単純なことを伝えたいのではありません。

 

「脂質」は、運動後に体の中で大量発生している細胞を攻撃(酸化)する物質「活性酸素」との反応性がとても高いです。

 

さらに、脂質+活性酸素でできた「過酸化脂質」は臓器や肌、血管にまで作用し錆びつかせさらなる「活性酸素」も生み出してしまうのです。

 

▶関連記事:活性酸素と抗酸化とお肌

 

 

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老化する=「活性酸素」で細胞が酸化する

人間の体内では年齢に関係なく、1日に約10億個もの「活性酸素」が発生しています。

 

「活性酸素」は、適度に働けば体外から侵入したばい菌をやっつける働きを持っており、100%悪い物質というわけではありません。

 

ですが、この「活性酸素」は様々な物質との反応性がとても高く正しく除去できないと、ばい菌以外にも自分自身の細胞や食事でとった栄養素も攻撃(酸化)してしまいます。

 

 

酸化現象を説明するイラスト

(写真:サントリー健康情報サポート)

https://health.suntory.co.jp/professor/vol6/

 

 

人間の肌や筋肉、脳は全て細胞でできています。

 

体の中では活性酸素によって細胞が攻撃されると、上の図のように細胞膜の脂質が酸化して、細胞が栄養と老廃物の出し入れをスムーズにできなくなり、老朽化します。

 

また、細胞の核の遺伝子が傷つけられて、細胞が変異したり、死滅したりします。

(癌の原因の一つは遺伝子変異です。)

 

こうなることで歳を追うごとに、シミやしわが増えてきたり内臓が衰えてくるのです。

 

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・数年前に比べると何となく肌のツヤがなくなった。

・ちょっと走ると息が切れる。

 

そんな小さな変化は病気ではありませんが、細胞の酸化が進んで体内が錆びつき始めた兆候かもしれません。

 

 

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「活性酸素」と焼肉の「脂質」が巡り合うと・・・ (パフォーマンス低下のメカニズム)

トレーニング後はエネルギー代謝の過程で、一時的に「活性酸素」が多く発生している状態です。

 

活性酸素は「脂質」が大好き。

 

このタイミングで焼肉を食べると、「活性酸素」と「脂質」が巡り合って反応し、大量に「過酸化脂質」が発生します。

 

 

「過酸化脂質」の働きは活性酸素と共謀して細胞をより早く酸化すること。

 

 

すると、

・肌細胞ではコラーゲンやエラスチンが破壊され ツヤがなくなりシミやシワの原因になる

 

・血管細胞では動脈硬化のリスクを高める

 

・筋肉細胞を攻撃し代謝が下がる

などなど本当に良いことなし。

 

 

しかも、運動してもいないのに更なる活性酸素を生み出す力まで持っている、いわば過酸化脂質は「自家発電式老化物質」なのです。

 

細胞を攻撃されると、当然人間の体はその原因を除去しようとします。

 

ですが、いつもより多く活性酸素が発生して除去が大変な運動後は焼肉で作ってしまった「過酸化脂質」にまで除去能力が追いつきません。

 

キャパオーバー状態になった体はこれ以上の活性酸素を発生させないために身体を休ませようと、眠気を催します。

 

その後に仕事や大事な予定を控えていたらパフォーマンスはグンと落ちることになり、その間にも肌細胞は攻撃され、急速にシミやシワの原因を作っていく・・・

 

 

この事実を知っている私からみるとトレーニング後に焼肉へ行く人はこんな状態です。

 

・マッチョになった腕を駆使して玉手箱を開ける

 

・ジム通いで健康的な体系を目指しつつ顔にはシワを作りに行く

 

・仕事に向けて眠気を生産しに行く

 

つまりトレーニングする努力を 自ら「悪者」に仕立て上げてしまっているのです。

 

せっかく忙しい中続けているトレーニングが、焼肉を食べるだけでこんなにも悪者になっちゃうなんて悲しすぎませんか?

 

焼肉を食べるのは、運動しない日でも良いんじゃないでしょうか。

 

焼肉は逃げません。

いつも私たちのそばにいます。

(トレーニング後、焼肉が食べたくなった時自分に言い聞かせている言葉です。笑)

 

 

次回の記事では、活性酸素の暴走を防ぎトレーニングの成果を「老い」にしないための具体的な方法をお伝えしたいと思います。

 

 

この記事を書いた人

福井セリナ 先生

福井 セリナ 先生

*薬剤師日本スキンケア協会

顧問グラビアアイドル、タレント、キャスター、番組レポーターなどを務める。慶應義塾大学薬学部在学中に「ミス慶應薬学部2015」で準ミスを受賞。在学中は“最強リケジョ”と称された。趣味はキックボクシング・映画・ドラマ・スポーツ鑑賞・文献検索。薬剤師免許を取得し、現役で薬剤師もしている。