2022年10月20日2024年9月19日お肌のトラブルケア,美容コラム

エモリエント効果を最大に引き出すポイントやエモリエント剤の種類や代表的な成分とは?

肌の潤いを確かめる

 

毎日のように丁寧なスキンケアをしているのに、肌が乾燥し荒れてしまうといったことはないでしょうか。

 

もしかすると、何らかの原因で肌の水分が蒸発し、潤いが失われている可能性もあります。

 

このような悩みを抱えている方に、ぜひ取り入れていただきたいのがエモリエント剤です。

 

今回は、そもそもエモリエントとは何か、エモリエント剤の選び方や正しい使い方もあわせて紹介します。

 

エモリエントについて

スキンケアをする女性

 

正しいスキンケアを行うにあたって、基礎知識として覚えておきたい内容はさまざまなものがあります。

 

そのなかのひとつであるエモリエントについて詳しく解説しましょう。

 

そもそもエモリエント効果とは何か?

エモリエントとは、「やわらかい」といった意味を指す言葉です。

 

美容の分野におけるエモリエント効果とは、皮膚にある適度な油分と水分を保持したまま潤いを維持し、肌を柔らかく保つ作用のことを指します。

 

また、エモリエント効果を期待できる美容アイテムのことをエモリエント剤ともよびます。

 

 

エモリエントによる肌への影響

本来、私たちの皮膚の表面には適度な油分が存在し、肌の乾燥を防いでくれる役割を果たしています。

 

しかし、湿度の低下などによって環境が変化すると、肌の表面にある油分が失われ乾燥しやすい状態となります。

 

その結果、肌のバリア機能が低下し、肌荒れや吹き出物、ニキビなどができやすくなります。

 

エモリエント剤をうまく活用することで肌の潤いが維持でき、肌荒れなどを防いでくれる効果が期待できるのです。

 

▶関連記事:ニキビや角質バリア強化にも効果がある美白有効成分 『リン酸L-アスコルビルマグネシウム』

 

 

エモリエント作用のある代表的な成分

エモリエント作用のある成分を大きく分類すると、耐水性のあるミツロウやミネラルオイル、スクワラン、オリーブ果実油などの脂質成分や、水分を抱え込む力のあるラノリン、肌のバリア機能改善に貢献するセラミドやグルコシルセラミドなどが挙げられます。

 

 

エモリエントクリームとは?

エモリエント剤にはさまざまなタイプの製品がありますが、なかでも保湿力の高い製品として人気が高いのがエモリエントクリームです。

 

その名の通りクリーム状のエモリエント剤で、保湿クリームやモイスチャークリームとよばれることもあります。

 

油脂成分が豊富に含まれているため肌に馴染みやすく、時間が経過してもエモリエント効果を維持しやすいといったメリットがある製品です。

 

 

保湿成分におけるエモリエント成分

エモリエント剤には耐水性や水分を抱え込む力のある成分が含まれていると紹介しましたが、保湿成分に着目した場合、どのような成分が有効なのでしょうか。

 

そもそも保湿成分が配合されたエモリエント剤は、肌が乾燥しやすい体質の方におすすめですが、水分を抱え込む力のあるラノリンや、肌のバリア機能改善に貢献するセラミドなどが有効といえます。

 

セラミド剤によっても配合されている成分は異なるため、各製品の成分表を確認して商品を選びましょう。

 

 

エモリエント剤の種類

エモリエント剤の代表的なアイテムとしてエモリエントクリームを紹介しましたが、これ以外にもジェルや乳液、オイルなどのアイテムが存在します。

 

肌が乾燥しやすい季節はクリームやオイルがおすすめですが、汗をかくことが多い夏や洗顔の後は爽快感のあるジェルタイプがおすすめです。

 

また、就寝前には乳液タイプのアイテムや、専用のナイトクリームなどを使い分けるのも良いでしょう。

 

 

 

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エモリエントとモイスチャーの違い

エモリエントクリームの写真
エモリエントと混同しやすい言葉にモイスチャーがあります。

 

それぞれ何が異なるのか、両者の違いとアイテムの使い分けについて紹介しましょう。

 

モイスチャーとは

モイスチャーとは、水分を表す言葉であり、肌に潤いを与え抱え込む効果のことをモイスチャー効果とよびます。

 

もともと肌の水分量が極端に少ない場合、エモリエント効果だけでは十分な潤いがキープできないことも多いため、肌の外部から水分を補給しなければなりません。

 

そこで、まずはモイスチャー効果の得られる化粧水やジェルなどを使って肌に潤いを与えた後、エモリエント剤で水分を閉じ込める方法が効果的といえます。

 

 

 

エモリエント効果を引き出す保湿ケアの4ステップ

保湿ケアをする女性

 

エモリエント効果を十分に引き出すためには、各アイテムの正しい使い方を理解し、効果的な保湿ケアの手順をマスターしておくことが重要です。

 

①洗顔

モイスチャー効果のあるアイテムやエモリエント剤を使用する前に、まずは入念に洗顔をして肌に付着した汚れや皮脂を取り除き、清潔にする必要があります。

 

洗顔で重要なのは、たっぷりの泡で包み込み、汚れを吸着するようなイメージで洗うことです。

 

強い力で擦ってしまうと、肌にダメージが加わり乾燥しやすくなるため注意しましょう。

 

▶関連記事:洗顔後のスキンケア(化粧水、美容液、乳液・クリームの使い方)<男性編>

 

 

②導入液・化粧水で水分を補給

洗顔後の肌は水分が蒸発し乾燥しやすい状態となっているため、たっぷりの導入液や化粧水を使って肌に水分を与え、柔らかくします。

 

導入液や化粧水を使用する際の注意点としては、肌を強い力で叩くのではなく、両手を使って押さえるハンドプレスや、化粧水を染み込ませたコットンなどを使って馴染ませるようにしましょう

 

 

③美容液で肌の悩みを解決

導入液や化粧水で水分を補給した後は、美容液を塗布することで肌トラブルや悩みを解消できます

 

美容液の製品によっても有効成分は異なるため、乾燥肌に悩んでいる方はコラーゲンやセラミドなどが配合された製品を選ぶと良いでしょう。

 

 

④エモリエント剤で水分を保持

エモリエント効果を最大限に高めるためには、最後の仕上げとしてエモリエント剤を使用することがおすすめです。

 

導入液や化粧水、美容液で肌に十分な水分を与えた状態で、エモリエントクリームやオイルなどを使用することで、水分を長時間にわたって肌に閉じ込めておけます。

 

なお、化粧水や乳液、エモリエント剤を使い分け、重ねて塗布するには時間と手間を要します。

 

出勤前や外出先などで時間が確保できない場合には、複数のスキンケアアイテムの機能を兼ね備えたオールインワンアイテムを使用するのもひとつの方法といえるでしょう。

 

 

 

頭皮にも効果が見込めるエモリエント

頭皮ケアをする女性

 

エモリエント剤は特に乾燥が気になる顔に有効なアイテムとして知られていますが、実は頭皮も乾燥しやすい部位であり、エモリエント剤を効果的に使用することで頭皮ケアに役立ちます。

 

エモリエントが頭皮に与える影響

頭皮の悩みといえば、薄毛や抜け毛が代表的です。

 

これらは遺伝的な要素も大きな原因としてありますが、根本的な原因としては頭皮の血行が悪くなり、栄養が毛髪の1本1本に行き渡らなくなることが影響しています。

 

エモリエント剤は皮膚をやわらかくする効果があると紹介しましたが、頭皮にエモリエント剤を塗布することで血行が改善され、健康的な頭皮を維持できるようになるのです。

 

その結果、健康的な毛髪に生まれ変わり、薄毛や抜け毛が改善される可能性もあります

 

 

乾燥した頭皮に有効なホホバオイル

頭皮の健康を維持し、薄毛や抜け毛を改善するためには、ホホバオイルが有効とされています。

 

ホホバオイルにはビタミンやミネラル類、アミノ酸などの成分が豊富に含まれており、これらは頭皮を含め肌の健康を保つ働きがあります

 

また、ホホバオイルにはワックスエステルとよばれる成分が多く、私たち人間の皮脂と似た性質をもっているため、毛髪のツヤを取り戻す効果も期待できます。

 

ホホバオイルを頭皮に塗ることで、毛穴の汚れを取り除き毛穴詰まりを解消してくれる働きもあるのです。

 

▶関連記事:「若返りのビタミンE」に関する記事はコチラ

 

 

頭皮マッサージにエモリエント剤を活用

実際にホホバオイルを頭皮に使用する場合には、エモリエント剤として頭皮に揉み込むようにマッサージをする方法が有効です。

 

ホホバオイルの製品に詳しい使用方法は記載していますが、基本的には乾いた状態の頭皮にホホバオイルを数滴垂らします。

 

その後、ホホバオイルが頭皮全体に行き渡るように指の腹を使って円状に全体をマッサージすることで、有効成分が頭皮に浸透しやすくなります。

 

特に、髪の毛のパサつきや乾燥が気になる方は、就寝前にホホバオイルを使って頭皮マッサージをすることで、就寝中に傷んだ髪の毛が補修されツヤを取り戻すことができるでしょう。

 

▶関連記事:毛髪保護効果のある「カゼインタンパク質」

 

 

 

エモリエントを補うべきなのはこんな状態

エモリエント剤は毎日のスキンケアに取り入れることがおすすめですが、肌の状態によってはエモリエント剤を使用することで肌質の改善が見込める場合もあります。

 

特におすすめしたいのは、乾燥肌や肌荒れに悩んでいる方です。

 

肌が乾燥したり荒れたりしていると、表面の角質がボロボロになりダメージを受けやすい状態となっています。

 

そこで、エモリエント剤を使用することで肌に柔軟性が生まれ、ボロボロになった角質を補修し健康な肌を取り戻すことができるのです。

 

また、普段は肌荒れが気にならない方も、紫外線の影響を受け日焼けをした場合、一時的に肌が乾燥しやすくなっています。

 

肌のヒリヒリした痛みや火照りがある程度落ち着いてきたら、スキンケアの仕上げとしてエモリエント剤を塗布することで、紫外線を原因とした肌荒れの進行を食い止める効果が期待できるでしょう。

 

 

 

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エモリエント効果が高いオススメのアボカドボディクリームとは?

エモリエント効果が高いアボカド

 

エモリエント剤にはさまざまな種類のアイテムがあると紹介しましたが、なかでも高い効果が期待されるのがアボカドボディクリームです。

 

アボカドボディクリームの成分

森のバターとよばれることも多いアボカドには、良質な油脂分が豊富に含まれており、食物として摂取する以外にもスキンケア製品の原料として用いられてきました。

 

アボカドボディクリームは代表的な製品であり、エキストラバージンアボカドオイルやシアバターオイル、ホホバオイル、グリセリンといったさまざまな成分が含まれています。

 

 

アボカドボディクリームの効果

アボカドボディクリームに含まれる油脂分には、肌の保湿力を高めることはもちろんですが、抗酸化作用も期待できます。

 

抗酸化作用は肌の老化を防ぎ若返りを図る働きがあるとされ、美容アイテムに最適な機能ともいえるのです。

 

また、肌の血行を促進する効果も期待でき、これによって肌のすみずみまで血流が届くようになり、肌のターンオーバーを促進することにもつながります。

 

▶関連記事:お肌のターンオーバー

 

 

 

エモリエント剤を選ぶときのポイント

エモリエント剤は大きく分けて

「軟膏」

「クリーム」

「ローション」

「フォーム」

「ジェル」

の4つの種類が存在します。

 

それぞれの特徴と選び方のポイントをまとめてみました。

 

軟膏

特徴:皮膚の保護力が高い、テカリやベタつきが生じやすい

 

→特に乾燥や肌荒れがひどい部位に塗布、空気が乾燥しやすい冬におすすめ

 

 

クリーム

特徴:皮膚の保護力は中程度、軟膏よりもテカりやすくベタつきにくい

 

→毎日のスキンケア用に年間を通しておすすめ

 

 

ジェル、ローション

特徴:皮膚の保護力は低め、ベタつきが少ない、頭皮にも塗りやすい

 

→春から秋にかけてクリームと併用、外出先などで汗をかいた際にもおすすめ

 

 

フォーム

特徴:皮膚の保護力は低め、もっともベタつきが少なく、泡状でさっぱりとした使い心地

 

→特にベタつきが気になる夏にクリームと併用、外出先などで汗をかいた際にもおすすめ

 

 

 

まとめ

毎日化粧水や乳液をつかってスキンケアをしているのに、気づくと肌が乾燥していたり、肌荒れが治らず悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

 

そのような場合、皮膚のエモリエント効果が失われていることが原因の可能性もあります。

 

スキンケアで補った水分を逃さないようにするためには、エモリエント剤を塗布し肌を柔らかくさせ、正常な角質を取り戻すことが重要です。

 

今回紹介したエモリエント剤の選び方や正しい使用法を参考に、日々のスキンケアに役立ててみてください。

 

 

この記事を書いた人

高本聖子先生‗日本スキンケア協会認定講師 width=

高本 聖子 先生

*日本スキンケア協会 認定講師
*プライベートサロンBPPT桜梅桃季 オーナー
*ビューティースクールBPPT桜梅桃季アカデミー 学院長
*リアルビューティーアカデミー 学院長
*JSSE 認定エステティシャン
*日本エステティック協会 認定エステティシャン

大手エステサロン2社に勤務し、店長マネージャー、トレーナーとして社員教育や顧客向けのイベント講師などを務める。 メンズエステ指導、トレーナー育成やシンガポールの大手チェーン店への技術指導研修などの経験も持つ。
現在は35年間の美容経験と教育指導30年キャリアを活かし、自サロンの運営、サロンのコンサルティング、独立開業の支援などを中心に現場に沿った指導を行う。日本のみならず中国のエステサロンでも教育を行う。これまでに教育した人数は5,000名以上。