2018年9月4日2018年9月4日大学教授に学ぶ正しい化粧品の知識

美容&スキンケア情報「注目の美容成分 『脂質代謝促進効果のある「L-カルニチン」②』」

注目の美容成分 『脂質代謝促進効果のある「L-カルニチン」②』

本日は、前回からの続きで、注目の美容成分 『脂質代謝促進効果のある「L-カルニチン」②』について記載いたします。

L-カルニチンが減少することで、肌荒れの原因になるというところまで記載いたしました。
L-カルニチンは、加齢とともに筋肉中のカルニチンは加齢に伴い減少することが示されていますが、
皮膚中のL-カルニチンも減少することが報告されています。

L-カルニチンの塩化物「塩化レボカルニチン」を塗布した場合、表皮の脂肪燃焼(β酸化)が高まり、
表皮のバリア機能に必要な角質層の細胞間脂質が増加し、肌荒れに対する抵抗性が高まることが、国内化粧品メーカーから報告されています。

さらに乾皮症(ドライスキン)の人に対して塩化レボカルニチン配合剤と無配合剤を塗布したところ、配合品では無配合品に対し、
角質水分量の増加など皮膚機能の有意な改善が得られたとの報告も国内化粧品メーカーからなされています。
また、Hi-カルニチン(化粧品表示名称:パルミチン酸カルニチン)が、Azelis Group (ルクセンブルク大公国)で開発されました。
本品はカルニチンに皮膚浸透性を付与した新しい誘導体で、脂肪の燃焼を促進し、燃焼時の発生エネルギーで皮膚細胞を活性化します。

スリミング、皮膚のたるみやしわ対策、保湿、育毛に効果が期待できるようです。
L-カルニチンのpKaは3.8です。pKaとは酸解離定数のことで、分子型とイオン型が各々50%になるpHです。
化粧品はpHを6.3前後にして調製するので、L-カルニチンは化粧品中ではイオン型として存在します。

イオン型は皮膚に浸透し難いので、L-カルニチンそのものを化粧品に入れても効果がないことになります。
したがって、理論的に考えると、塩化レボカルニチンは効果がないが、
パルミチン酸カルニチンには効果が期待できるということになります。

記事


前田 憲寿 先生
医学博士
東京工科大学 教授
日本スキンケア協会 顧問

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