2018年8月23日2024年5月14日大学教授に学ぶ正しい化粧品の知識

植物性美白成分 油溶性甘草エキスP-T (40)の効能は?

今日は、注目の美容成分「植物性美白成分 油溶性甘草エキスP-T(40)」について記載いたします。

 

グラブリジンやグラブレンを含む甘草(Glycyrrhiza glabra Linne)の油性抽出物は、油溶性甘草エキスP-T (40)として丸善製薬株式会社から販売されています。

 

甘草の油性抽出物は、例えば、甘草またはその同族植物の根のエタノール抽出物を酢酸エチルで再抽出し、クロマト分画して得ることができます。

 

甘草は、中国の「神農本草経」に収載され、抗炎症作用、抗腫瘍作用、抗アレルギ一作用を有する生薬として知られています。

 

その主成分はグルチルリチン酸誘導体などの水溶性成分であり、医薬品や医薬部外品の有効成分として汎用されています。

 

 

一方、甘草の油性抽出物は、グルチルリチン酸誘導体を含まず、グラブリジンやグラブレンなどを合計50%程度含有することを特徴とした抽出物であり、水溶性成分にはない新たな作用としてメラニン生成抑制効果があることが知られています。

 

 

 

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ヒト色素細胞を用いてメラニンの生成に及ぼす油溶性甘草エキスP-T (40)の効果について検討した結果、10ppm(0.001%)にて細胞毒性を示さず、メラニン生成を抑制しました。

 

その作用はコウジ酸の25倍以上の強さです。

 

また、抗酸化作用も併せ持っています。

 

グラブリジンを50%含む甘草の油性抽出物を0.2%含有するクリームを用いて、多施設二重盲検比較試験により、肝斑患者30例に12週間以上使用させ色素沈着改善効果を検討した結果、有効性が認められたとの報告がされています。

 

ただし、グラブリジンによるアレルギー性接触皮膚炎の報告が30例中1例みられています。

 

 

また、老人性色素斑18例に、コウジ酸と油溶性甘草エキス配合の美白外用剤を16週間使用させた結果、「やや改善」以上14例(77.8%) 最終的な有用性は「やや有用」以上83.3%(18例中15例)の有用性も報告されています。

 

 

このように、甘草の油性抽出物には、培養細胞系と臨床試験においてメラニン生成抑制作用・色素沈着改善作用を有することが確認されています。

 

 

この記事を書いた人

前田 憲寿 先生

前田 憲寿 先生

*医学博士

*東京工科大学 応用生物学部 教授

*日本スキンケア協会 顧問

*特許庁 機能性皮膚化粧料調査委員会 委員長

九州大学大学院薬学研究科、東北大学大学院医学研究科を経て、資生堂ライフサイエンス研究センター皮膚科学研究所にて主任研究員を務める。2007年に東京工科大学バイオニクス学部教授、バイオ・情報メディア研究科教授に就任。2008年より、同大学応用生物学部、バイオ・情報メディア研究科教授に就任。専門分野は、香粧品科学、皮膚科学、分子細胞生物学、生化学、薬理学など。テレビなどのメディア出演も多数。

 

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