2018年8月18日2024年3月12日大学教授に学ぶ正しい化粧品の知識

美容&スキンケア情報「注目の美容成分 『生体適合性ポリマー「ポリクオタニウム-51」』」

今日は、注目の美容成分『生体適合性ポリマー「ポリクオタニウム-51」』について記載いたします。

 

ポリクオタニウム-51は、2-メタクロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)とメタクリル酸ブチルとのリン脂質ポリマーで、約2,000個の分子が化学結合した構造をした生体適合性ポリマーです。

 

一般的に、生体適合性ポリマーは生体にやさしいポリマーのことですが、反面、生体の脂質やタンパク質が生体適合性ポリマー表面に吸着して悪影響を与える場合があります。

 

 

そこで、リン脂質分子が互いに自己組織化する特性を利用して、リン脂質構造を分子内に導入することにより生体適合性を獲得したポリマーが開発されたのです。

 

高機能性化粧品用原料として、日油からLIPIDURE-PMBの商品名で製造販売されています。

 

 

リン脂質ポリマーLIPIDUREにはその他に、MPCのモノポリマーであるポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(LIPIDURE-HM) 、ポリクオタニウム-61(MPCとステアリルメタクリレートとの共重合体の多価アルコール溶液; LIPIDURE-NR)、ポリクオタニウム-64(LIPIDURE-C)、
ポリクオタニウム-65(LIPIDURE-A)などがあります。

 

 

 

 

 

 

 

LIPIDURE-AとLIPIDURE-Cの効果

LIPIDURE-AとLIPIDURE-Cは、ヘアケア用として開発されたLIPIDUREで、分子内にそれぞれアニオン性基と疎水性基およびカチオン性基を有しているので、毛髪(特にカラーの繰り返しにより傷んだダメージヘア)に対して優れた親和性を有し、傷んだ髪に潤いをとり戻し、健康な髪へ生まれ変わらせることができます

 

LIPIDURE は、水で洗っても、保水力が下がらないという優れた特長があます。

 

化粧品だけではなく、コンタクトレンズ保存液やスキンケア医薬品、人工臓器、医療機器分野で使用されています。

 

 

その被膜作用によって

①角層の保湿効果

②皮膚柔軟効果

③肌荒れ防止効果

④毛髪の保湿効果

⑤毛髪の保護効果

等があります。

 

その他、被膜作用によって乾燥によるセラミド生成酵素の発現低下に対する抑制効果や、健全な角質のバリア機能の維持を促す効果があるので、アトピー体質の乾燥肌にも有用です。

 

塗布中は肌を滑るような独特な使用感触を持つことも特徴です。

 

 

ただ、配合量が多いと、乾く際にべたつきを感じることがあります

 

吸湿速度はグリセリンと同程度です。

 

 

0.1%ポリクオタニウム-51水溶液を塗布した肌では、0.1%高分子ヒアルロン酸を塗布した肌と同等以上の皮膚柔軟性を示します。

 

これは、ポリクオタニウム-51が角層表面上で含水膜を作るため、被膜作用によって低湿度においても高い角層水分量を保持することができるからです。

 

 

 

 

 

この記事を書いた人

前田 憲寿 先生

前田 憲寿 先生

*医学博士

*東京工科大学 応用生物学部 教授

*日本スキンケア協会 顧問

*特許庁 機能性皮膚化粧料調査委員会 委員長

九州大学大学院薬学研究科、東北大学大学院医学研究科を経て、資生堂ライフサイエンス研究センター皮膚科学研究所にて主任研究員を務める。2007年に東京工科大学バイオニクス学部教授、バイオ・情報メディア研究科教授に就任。2008年より、同大学応用生物学部、バイオ・情報メディア研究科教授に就任。専門分野は、香粧品科学、皮膚科学、分子細胞生物学、生化学、薬理学など。テレビなどのメディア出演も多数。

 

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