2024年9月9日2024年9月9日大学教授に学ぶ正しい化粧品の知識

育毛・発毛促進効果のある「オタネニンジン」

オタネニンジン(人参、学名:Panax ginseng)はウコギ科 (Araliaceae) に属し、神農本草経上品に収載されている重要な漢薬です。

 

日本では「朝鮮人参」「高麗人参」とも呼ばれています。

 

オタネニンジンの特徴

オタネニンジンは中国、朝鮮半島原産の多年生草木で、根茎は短く、主根は肥大して分枝し、茎は直立し、高さ約60cm、単一で無毛です。

 

葉は掌状複葉で、葉柄は葉身とほぼ等長で、茎預から長柄をだし、球状の散形花序を付け、花期4~7 月には淡緑色の小花を多数開き、液果は赤熟します。

 

人参の原植物は日本の山野に自生していなかったが、江戸時代に栽培化が試みられ、長野、福島、島根などで生産されています。

 

栽培により4~6 年生の根をに採取します。

 

 

オタネニンジンの効果

トリテルペンサボニン (ginsenoside Rb1 (図1)、Rb2、Rc、Rg1 (図2)) を主成分として、その他panaxynolなどの揮発性成分、その他β-sitosterol、その配糖体 (daucosterin) 、ビタミンB群を含んでいます。

 

主として漢方処方薬であり、健胃強壮薬として各種配合剤に用います。

 

オタネニンジン根エキスは、医薬部外品として承認されている育毛・発毛促進の有効成分であり、毛乳頭細胞および外毛根鞘細胞増殖促進などによる育毛・発毛促進目的で30年以上前から育毛を目的とした製品に配合されています。

 

また、オタネニンジン根エキスに含まれるギンセノシド(ginsenoside)には血管拡張作用が認められており、外用においても血行促進作用が明らかにされていることから、血管拡張による血行促進作用を有していると考えられます。

 

化粧品に配合される場合は、根を50%エタノール、40%BGで抽出して得られる抽出エキスを用います。

 

 

抽出エキスは淡黄褐色の透明な液体で、わずかに特異なにおいがあります。

 

Ⅰ型コラーゲン産生促進による抗老化作用、角質水分量増加による保湿作用が報告されています。

 

 

・図1

トリテルペンサボニン

 

・図2

Rb2、Rc、Rg1

 

 

 

この記事を書いた人

前田 憲寿 先生

前田 憲寿 先生

*医学博士

*東京工科大学 応用生物学部 教授

*日本スキンケア協会 顧問

*特許庁 機能性皮膚化粧料調査委員会 委員長

九州大学大学院薬学研究科、東北大学大学院医学研究科を経て、資生堂ライフサイエンス研究センター皮膚科学研究所にて主任研究員を務める。2007年に東京工科大学バイオニクス学部教授、バイオ・情報メディア研究科教授に就任。2008年より、同大学応用生物学部、バイオ・情報メディア研究科教授に就任。専門分野は、香粧品科学、皮膚科学、分子細胞生物学、生化学、薬理学など。テレビなどのメディア出演も多数。