2021年1月25日2023年12月6日大学教授に学ぶ正しい化粧品の知識

イボと肌荒れに効果のある「ハトムギ種子エキス」

本日は、イボと肌荒れに効果のある「ハトムギ種子エキス」についてお伝えします。

 

ハトムギ種子エキスはイネ科植物のハトムギ (学名: Coix Lacryma-Jobi L. var. ma-yuen Stap, 生薬名: ヨクイニン(薏苡仁))の種皮を除いた種子を細かく砕き、50%エタノールで抽出したものです。

 

中国・インドシナ地方の原産で、日本には古くに渡来し、西南部の暖地で栽培されています。

 

 

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ハトが好んで食べることからハトムギと名づけられ、中国では数千年前から食用にされていました。

 

現在、煎じて飲む、炊いて食べる、肌に塗るなど、化粧品や健康食品、薬膳の分野で用いられ、特に美肌効果が注目を集めています。

 

豊富な栄養素が新陳代謝を活発にし、滋養強壮を促し、体内の老廃物の排出を促すと考えられています。

 

 

種子にでん粉50%、タンパク質のグルタミン酸、ロイシン、チロシン、バリン、ロイシンのほか、脂質、カンペステロール、スティグマステロール、鎮痛作用を有するコイクソールcoixol (図1)、抗腫瘍作用を有するコイクセノライド (coixenolide; 図2) を含みます。

 

ヨクイニンにはcoixenolide を含むものと含まないものがある可能性が指摘されています。

 

漢方処方は、「神農本草経」の「筋肉が異常緊張してひきつり、屈伸できないもの、関節炎、リューマチ様の疾患、疹痛のある身体マヒによい」とあり、「久しく服すれば強壮薬になる」と記載され、消炎・利尿・鎮痛・滋養強壮作用があり、むくみ、関節や筋肉の痛みを改善する薬方に配合されます。

 

 

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また、貝原益軒が庶民の聞で行われていた療法を収録した「大和本草」(1708)に、漢方にない効果民間療法の「美肌、イボとり、母乳を増す」などが紹介されています。

 

皮膚にできる腫瘍には良性腫瘍と悪性腫瘍の2種類ありますが、首イボ (アクロコルドンやスキンタッグ) は良性腫瘍のため、抗腫瘍作用を持つ成分コイクセノライドが含まれているハトムギにはイボ取り効果があると言われているのです。

 

 

また、SOD (superoxide dismutase) 活性や5α-リダクターゼ阻害活性が認められています。

 

皮脂分泌抑制、抗炎症、アトピー性皮膚炎などでの有用性が検討されています。

 

コイクソール、コイクセノライドの構図

 

この記事を書いた人

前田 憲寿 先生

前田 憲寿 先生

*医学博士

*東京工科大学 応用生物学部 教授

*日本スキンケア協会 顧問

*特許庁 機能性皮膚化粧料調査委員会 委員長

九州大学大学院薬学研究科、東北大学大学院医学研究科を経て、資生堂ライフサイエンス研究センター皮膚科学研究所にて主任研究員を務める。2007年に東京工科大学バイオニクス学部教授、バイオ・情報メディア研究科教授に就任。2008年より、同大学応用生物学部、バイオ・情報メディア研究科教授に就任。専門分野は、香粧品科学、皮膚科学、分子細胞生物学、生化学、薬理学など。テレビなどのメディア出演も多数。

 

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