2020年4月15日2024年6月25日大学教授に学ぶ正しい化粧品の知識

保湿・抗シワ効果のあるホエイ

今回は、保湿・抗シワ効果のあるホエイについてお伝えします。

 

ホエイとは?

ホエイ(乳清)とは生乳または脱脂粉乳水溶液から得られる乳酸発酵液より不溶物を除去したものです。

 

分かりやすく言うと、ヨーグルトを食べるときに、上に浮かんでいる上ずみ液をホエイといいます。

 

ホエイは、乳酸発酵液から乳タンパク質の主成分であるカゼインを除いたものです。

 

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約1%のタンパク質 (ラクトアルブミン、ラクトグロブリン、ラクトフェリン) 、ラクトース、水溶性ビタミン、カルシウムやナトリウムなどのミネラルを含んでいます。

 

経口摂取では、乳清タンパク質は筋力トレーニングとの併用で筋力の向上に有効性が示唆されています。

 

 

 

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ホエイの美容効果

また、ホエイに含まれる乳清タンパク質には、抗炎症作用があり、皮膚に対しては肌あれを抑えてくれる効果もあります。

 

さらに、ホエイに含まれるα-ヒドロキシ酸は、角質のターンオーバーを促進する作用があり、ニキビやくすみを改善してくれます。

 

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最近の研究では、ホエイが真皮の線維芽細胞に働きかけ、コラーゲンとの相互作用を強めシワやたるみを改善する効果が注目されています。

 

 

 

 

ホエイの活性成分「ラクトフェリン」

ホエイの活性成分のひとつであるラクトフェリンには真皮を構成する線維芽細胞や表皮を構成する角化細胞の細胞遊走を促進する作用や線維芽細胞によるコラーゲンやヒアルロン酸の産生を促進する作用があります。

 

皮膚疾患モデルマウスにラクトフェリンを局所投与すると、創傷の治癒が促進され褥瘡(床ずれ)が予防されるとの報告もあります。

 

 

ラクトフェリンには抗酸化作用もあります。

 

これは、ラクトフェリンが生体内で過剰になった遊離の鉄を取り除くことで、ヒドロキシラジカルの生成を抑制すると考えられています。

 

 

ラクトフェリンを経口あるいは腹腔内に投与したマウスにX線を全身照射すると、ラクトフェリンを投与しないマウスと比較して生存率が上昇することも報告されています。

 

 

これもラクトフェリンが鉄を取り除き、ラジカルの生成を抑制したためと考えられています。

 

 

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この記事を書いた人

前田 憲寿 先生

前田 憲寿 先生

*医学博士

*東京工科大学 応用生物学部 教授

*日本スキンケア協会 顧問

*特許庁 機能性皮膚化粧料調査委員会 委員長

九州大学大学院薬学研究科、東北大学大学院医学研究科を経て、資生堂ライフサイエンス研究センター皮膚科学研究所にて主任研究員を務める。2007年に東京工科大学バイオニクス学部教授、バイオ・情報メディア研究科教授に就任。2008年より、同大学応用生物学部、バイオ・情報メディア研究科教授に就任。専門分野は、香粧品科学、皮膚科学、分子細胞生物学、生化学、薬理学など。テレビなどのメディア出演も多数。