2018年7月28日2018年7月28日皮膚科医に学ぶ正しいスキンケア

美容&スキンケア情報「メラニンの働き」

メラニンの働き

『しみ』は色素斑、つまり皮膚の色調が茶色~黒褐色に変化する部分です。
主に老人性色素斑、雀卵斑(そばかす)、肝斑、ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)、炎症後色素沈着、
脂漏性角化症(イボ)、色素性母斑(ほくろ)、皮膚悪性腫瘍など、挙げればきりがないぐらい存在します。

それぞれ原因も違えば、見た目も異なります。
しかし、どの『しみ』も、その色を呈するのは皆さんご存知の『メラニン色素』です。

今回はその『しみ』の色を呈する『メラニン』についてお話しします。
メラニンは表皮最下層にあるメラノサイトという細胞から産生されます。
メラノサイト内にはメラノソームという細胞内小器官があり、
その中でチロシンがチロシナーゼ酵素の作用によりメラニンとなります。

メラノソームにはⅠ~Ⅳの発達段階があり、
成熟したⅣの段階になると樹状突起から周囲の表皮細胞に受け渡されるシステムとなっています。
ちなみにチロシナーゼ酵素の働きをブロックする物質は
美白剤(白斑で有名になったロドデノールもその阻害)として配合されます。
「しみ=メラニン」と認識されることが多いと思いますが、メラニンはしみの色だけではありません。
皮膚や髪の色調も同じメラニンなのです。
そして産生されるメラニン、実は2種類あります。
黒色のユーメラニンと黄色のフェオメラニンとに大別されます。

ヒトの皮膚、髪の色はその2種類の比率により、色が異なります。
そしてメラニンの機能、役割は紫外線防御にあります。
つまり過剰な肌トラブル、皮膚癌などのリスクを下げているのはメラニンなのです。

以前は、メラニンは紫外線を直接吸収する作用がほとんどと言われていましたが、
最近では、紫外線があたることで過剰に産生される活性酸素を吸収する作用のほうが主体なのでは、
という報告もでてきています。

どちらにしても“メラニン”は生体にとって防御機構であると言えるのです。
なくてはならないものですね。
しかし、メラニンが一部のみ過剰に産生され続けると、それは“しみ”になるということです。

防御反応が過剰になるとしみとなる…
なかなか、なやましいと思いませんか?

 

記事

濱野 英明 先生

テティス横濱美容皮膚科 院長
日本皮膚科学会 皮膚科専門医
日本スキンケア協会 顧問

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