2018年8月27日2024年9月20日皮膚科医に学ぶ正しいスキンケア

真皮層の役割とは?美肌を支える「土台」の秘密

皮膚は、3つの層から成り立っています。

 

表面から表皮、真皮、皮下組織と区別され、皮膚の付属器官と呼ばれる毛髪、爪、脂腺、汗腺などの特殊な構造と働きを持っている部位があります。

 

今回は、その中の真皮層について記載いたします。

 

真皮層とは

真皮層は表皮下層にあるコラーゲン線維のある層です。

 

ここには線維成分の他に、血管、リンパ管、神経、あらゆる細胞成分が存在します。

 

厚みは表皮の数倍から数十倍あり、皮膚の大部分を形成しており、肌のハリ、柔らかさ、弾力に関連しています。

 

この層の役割を理解することで、スキンケアの重要性が一層感じられるでしょう。

 

 

 

真皮層の構造

真皮は、乳頭層、乳頭下層、網状層の3つに区別されていますが、これらの層は表皮の4層のようにはっきりとした境はありません。

 

また、表皮との境界は波状となっており、表皮側に突き出た部分を乳頭と呼んでいます。

 

表皮層とは基底膜により隔たれています。

 

表皮層の栄養はこの真皮層から基底膜を介して送られます。

 

真皮層の断面図

 

 

日本スキンケア協会通信講座スキンケアアドバイザー講座のご案内

 

 

真皮層の役割と働き

さて真皮層の最も重要な役割は何でしょうか?

 

それは、皮膚の構造上の土台としての役割です。

 

コラーゲンとエラスチン:肌のハリと弾力を支える主成分

真皮層に存在するその土台の中心的な役割は線維成分が担っています。

 

線維成分は膠原線維(コラーゲン)弾性線維(エラスチン)があります。

 

膠原線維は真皮重量の約70%を占め、肉眼的には白く見えます。

 

煮るとゼラチン状になることから膠原線維と名づけられました。

 

線維成分の走行に沿って働く張力に対して強く、伸展性に欠ける組織です。

 

言わゆる支持組織として働きます。

 

そして弾性線維は、膠原線維間にあり、弾力性に富む組織です。

 

弾力があるので、顔の皮膚や血管、腱に多く存在します。

 

これら2つの線維がそれぞれの役割に担って、皮膚土台としての存在しています。

 

そしてこれらの成分がしっかりとネットワークを形成することで、肌のハリや弾力が維持され、若々しい印象を与えます

 

しかし、加齢や紫外線ダメージなどによってこれらの繊維が減少すると、シワやたるみの原因となるため、日頃からのケアが重要です。

 

 

ヒアルロン酸:肌の潤いを保つ保湿のカギ

真皮層には、ヒアルロン酸と呼ばれる高い保水力を持つ物質が含まれています。

 

この成分は、スポンジのように水分を抱え込み、肌をふっくらと保つ働きをします。

 

真皮層が十分に潤っていることで、肌の乾燥を防ぎ、キメ細やかで滑らかな肌触りを維持することができます。

 

 

血管と神経:肌の栄養供給と感覚機能のサポート

真皮層には豊富な血管が通っており、肌細胞に必要な栄養素や酸素を供給しています。

 

また、神経が存在するため、外部からの刺激を感じ取ることもできます。

 

この血流や神経の働きによって、肌は常に健やかな状態を保つことができ、傷ができても自己修復力を発揮するのです。

 

 

線維芽細胞:美肌成分の生産工場

真皮層に存在する線維芽細胞は、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸といった美肌成分を生成する「生産工場」のような役割を担っています。

 

この細胞の働きが衰えると、美肌成分の生産が減少し、肌の老化を引き起こします。

 

活性化を維持するために、適切なスキンケアや生活習慣の見直しが求められます。

 

 

 

真皮の断面図

 

 

日本スキンケア協会通信講座スキンケアアドバイザー講座のご案内

 

 

真皮を良好な状態に保つための秘訣

真皮は肌の土台となる層であり、ハリや弾力、うるおいを保つために非常に重要な役割を果たします。

 

そんな真皮を良好な状態に保つことは、美しい肌を維持するために欠かせません。

 

ここでは、真皮を健やかに保つために必要なポイントを詳しく解説します。

 

コラーゲンとエラスチンの生成を促す

真皮の健康を保つためには、コラーゲンとエラスチンの生成を促進することが必要です。

 

これらの成分は肌の弾力や柔軟性を支えていますが、加齢とともに減少してしまいます。

 

ビタミンCアミノ酸が豊富な食品を摂取し、定期的なマッサージや適切なスキンケアで血行を良くすることで、これらの生成をサポートしましょう。

 

ビタミンCを豊富に含む食材一例

  • イチゴ
  • キウイフルーツ
  • 柑橘類(オレンジ、グレープフルーツ、レモン)
  • 赤ピーマン
  • ブロッコリー
  • パセリ                     など

 

アミノ酸を豊富に含む食材一例

  • 鶏肉や牛肉、豚肉
  • 魚介類(鮭、マグロ、サバなど)
  • 大豆製品(豆腐、納豆、味噌、豆乳など)
  • 乳製品(ヨーグルト、チーズ、牛乳など)
  • ナッツ類(アーモンド、くるみなど)
  • 海藻類(わかめ、ひじき、昆布など)
  • キヌアやチアシード                など

 

 

紫外線から肌を守る

紫外線は真皮層にダメージを与え、コラーゲンの減少を加速させます。

 

日常的な紫外線対策が、真皮の劣化を防ぐカギです。

 

日焼け止めの使用はもちろんのこと、UVカットの帽子やサングラスを活用し、真皮を紫外線の害から守ることが大切です。

 

 

保湿と適切なスキンケア

真皮の健康を維持するためには、十分な保湿が欠かせません。

 

肌の水分バランスを保つことで、真皮にあるコラーゲンとエラスチンがしっかりと機能します。

 

ヒアルロン酸やセラミドなど、保湿成分が含まれたスキンケアアイテムを使い、肌の奥までしっかりとうるおいを届けましょう。

 

 

抗酸化ケアの実践

酸化ストレスは真皮の細胞を傷つけ、肌の老化を促進します。

 

ビタミンEポリフェノールなど、抗酸化作用のある成分を取り入れ、細胞のダメージを軽減するケアを心がけましょう。

 

食生活の改善やサプリメントの活用も効果的です。

 

ビタミンEを豊富に含む食材一例

  • ナッツ類(アーモンド、くるみ、ピーナッツ、ヘーゼルナッツ)
  • 魚介類(サーモン、ニシン、イワシ、マグロ)
  • 葉物野菜(ほうれん草、ケール、ブロッコリー)
  • フルーツ(キウイ、マンゴー、アボカド)       など

 

ポリフェノールを豊富に含む食材一例

  • ブルーベリーやベリー類
  • ぶどう
  • カカオ(ダークチョコレート)
  • クルミやアーモンドなどのナッツ類
  • りんご(特に皮)                  など

 

 

生活習慣の見直し

睡眠不足やストレスは、真皮の健康に悪影響を与えます。

 

十分な睡眠を確保し、リラックスする時間を持つことで、肌の再生力を高めることができます。

 

また、適度な運動も血行を促進し、真皮層に栄養を届けるために有効です。

 

真皮の健康を守ることは、結果的に肌全体の美しさにつながります。

 

 

 

日常のちょっとした習慣が、将来の肌を大きく左右するので、意識的に取り組んでいきましょう。

 

 

 

 

この記事を書いた人

濱野 英明先生

濱野 英明 先生

テティス横濱美容皮膚科 院長

日本皮膚科学会 皮膚科専門医

一般社団法人日本スキンケア協会 顧問

川崎市立川崎病院、慶應義塾大学病院皮膚科、稲城市立病院皮膚科、済生会横浜市南部病院皮膚科での勤務を経て、横浜の桜木町駅前に医療とエステを融合させた「テティス横濱美容皮膚科」を開設。日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、日本東洋医学会、日本レーザー医学会等に加盟し、最新の確かな情報を基に、安全で効果の高い美容医療を提供している。また、ミス・ユニバースやミススプラインターナショナルのビューティーキャンプ講師や審査員も務める。